ボルボ
【ボルボの歴史】ルーツと代表車種や現行モデル全10車全網羅!
ボルボが長い歴史の中で生み出してきた代表車種を紹介するとともに、世界一安全な車と称賛されるボルボの安全のルーツを探ります。ボルボの先進安全技術であるインテリセーフの紹介と、それらを搭載する現行モデル10車種のスペックを全網羅しています。
ボルボの歴史
ボルボは北欧スウェーデンに本拠を置く自動車メーカーです。
乗用車のみならず、トラック、バス、建設機や軍用ジェットや金融サービスなど幅広い事業を展開する大規模複合企業でもあります。
創業部門であった自動車製造は、1990年にフォードに譲渡された後、2010年からは中国・吉利ホールディングスが保有しており、大元であったボルボから独立したボルボカーズとして、安全な車を造り続ける一大ブランドとなっています。
ボルボの誕生
ボルボは、優れた経営者であったアッサール・ガブリエルソンと、優れた自動車設計者のグスタフ・ラーソンの二人に手によって創設されました。
1926年、ガブリエルソンらが所属していたベアリングメーカーのSKF社(現AB SKF社)のバックアップにより試作第一号車を完成させ、SKF社が保有していた子会社「ボルボ」を自動車メーカーとして立ち上げたのがボルボの生い立ちです。
創業当時から安全な車を作ることを企業理念として、事故調査の徹底と安全装備の開発を重点にして自動車開発を進められています。
ボルボのロゴの意味
ボルボのロゴマークは丸と矢印を組み合わせた、男性を表すマークが使われていますが、製鉄が盛んなスウェーデンでは「鉄」のシンボルとして用いられるため、ボルボの「アイアンマーク」と呼ばれます。
良質なスウェーデン鋼で造られていたボルボ車は「頑丈で信頼性が高い」というイメージを表したロゴマークです。
ちなみに「ボルボ」の社名はラテン語で「私は廻る」という意味を持ちます。
ベアリングメーカーSKF社の子会社の名前だったため、ロゴの丸部分はベアリングを表しているのかもしれません。
ボルボの魅力
「ボルボ設計の基本は常に安全でなければならない」
その安全に対する高い企業理念のルーツはどこにあるのでしょうか。
その鍵はボルボの母国、スウェーデンの大自然が由来しています。
森と湖の国スウェーデンにはヘラジカが多く生息しています。
「森の王」の異名を持つヘラジカは体長2mから3m、体重は800kgにも及ぶ巨大なシカです。
冬季には道路にまかれる融雪剤、つまり塩を舐めるために道路上に姿を現すヘラジカが多く、車との衝突事故が度々起こっています。
ヘラジカは細い足に巨大な胴体が乗っているため、夜間はヘッドライトをつけても認識しづらいうえ、車と衝突すると足が折れ、支えを失った800kgもの胴体が運転席を押し潰してしまうのです。
ヘラジカに対処するためにボルボの車には、丈夫なキャビンと優れた衝突安全性が必要でした。
現代ではそれに加えて、先進の安全装備である「ボルボ・インテリセーフ」が搭載されます。
ボルボが世界に先駆けて開発した安全装備はたくさんあります。
破片から乗員を守るための合わせガラス、衝撃吸収ステアリング、ソフト素材のダッシュボード、そして3点式シートベルトなど。
今や常識となっている安全装備はボルボが生み出したものです。
歴代ボルボの代表車種
ボルボ PV444
ボルボ 120 通称「アマゾン」
ボルボ 221
ボルボP1800s
ボルボ 240
ボルボ 740
ボルボ 850
ボルボ V50
ボルボ 現行車種一覧
乗用車部門のボルボは1999年にフォードに分離売却され、ボルボ・カーズと名前を変えフォードのシャシー、エンジンを使用して車を生産していました。
そして、2010年に中国・吉利(ジーリー)ホールディングスがボルボを買収し現在に至ります。
親会社となった中国・吉利ホールディングスと、そのグループ自動車メーカーの吉利汽車は、ボルボの車づくりには関与しないことを表明しており、ボルボは今まで通りの理念にそった車造りをしています。
現行モデルは、北欧神話のトールハンマーをモチーフとしたT字ヘッドライトを取り入れたデザインで統一されます。
いまだモデルチェンジの済んでいないS60/V60は、以前のフロントマスクのままですが、そう遠くない未来にモデルチェンジが果たされるでしょう。
現行の全車種に、レーダー検知やカメラ検知などの先進テクノロジーを駆使し、自動ブレーキなどのさまざまな安全機能「インテリセーフ」が標準装備されています。
スウェディッシュ・セダン ボルボ S60
スウェディッシュ・エステート ボルボ V60
スウェディッシュ・クロスオーバー ボルボ V60 CrossCountry
アーバン・ショートワゴン ボルボ V40
アーバン・クロスオーバー ボルボ V40 ClossCountry
フラグシップ・セダン ボルボ S90
プレミアム・クロスオーバー ボルボ V90 CrossCountry
ボルボ Intellisafe(インテリセーフ)
安全を最重要視するボルボが、先進技術によって生み出した安全テクノロジーがインテリセーフです。
ボルボは2020年までに新型ボルボ車での交通事故による死亡車、重傷者をゼロにする取り組み「vision2020」を掲げており、特に自動ブレーキ機能搭載車両は、それまでの非搭載車両に比べ事故発生率が69%減少したという結果が出ています。
完全停止する自動ブレーキに始まるインテリセーフの機能は、ニューモデルが発売されるたびに次々と追加され、最新のXC60では16種類以上の安全装備が搭載されています。
それらがどのような機能を果たすのかを解説します。
インテリセーフの機能一覧
衝突回避・軽減フルオートブレーキシステム
歩行者やサイクリストを検知して、ドライバーに警告、自動ブレーキを作動させます。
●インターセクション・サポート(右折時対向車検知機能)
交差点右折時に対向車を監視し、衝突の危険がある場合は自動ブレーキを作動させます。
●ステアリング・サポート(衝突回避支援機能)
50km/hから100km/hの範囲で作動し、自動ブレーキでは衝突を回避できない場合ステアリング操作を補助します。
●大型動物検知機能(夜間含む)
ヘラジカなどの大型動物も検知し、自動ブレーキを作動させます。
●オンカミング・レーン・ミティゲーション(対向車線衝突回避支援機能)
自車線を逸脱した場合に対向車との衝突の危険が検知されるとステアリングを自動修正し、元の走行車線に復帰します。60km/hから140km/hで作動します。
●全車速追従機能付ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)
前走車と安全な車間距離を自動的に保ち、発進・追従・停止までを自動的に行います。
●パイロット・アシスト(車線維持支援機能)
140km/h以下での走行中、車線の中央を走るようにステアリングを自動修正します。
●ステアリング・アシスト付BLIS(後車衝突回避支援機能付ブラインドスポット・インフォメーション・システム)
車線変更時の後方から接近する車両を検知し、衝突の危険性がある場合は元の車線に戻るようにステアリングを自動修正します。
●LCMA(レーン・チェンジ・マージ・エイド)
後方から接近する車両を検知し、ドライバーに警告します。
●LKA(レーン・キーピング・エイド)
自車が車線を逸脱しようとすると、もとに戻るようにステアリングをアシストします。
●DAC(ドライバー・アラート・コントロール)
眠気や注意力欠如による異常な走行状態を検知すると、ドライバーに警告します。
●CTA(クロス・トラフィック・アラート)
見通しの悪い場所からの後退時に、車両・自転車・歩行者を検知します。
●RSI(ロード・サイン・インフォメーション)
重要な道路標識を検知して、液晶メーターに表示します。
●ランオフロード・プロテクション(道路逸脱事故時保護機能)、衝撃吸収機構付フロントシート
道路を逸脱する危険を検知すると、シートやベルトを制御し、乗員に加わる衝撃を緩和します。
●ランオフロード・ミティゲーション(道路逸脱回避支援機能)
道路を逸脱する危険を検知すると、ステアリング・ブレーキ動作をアシストし逸脱回避のサポートをします。
●フル・アクティブ・ハイビーム(LEDヘッドライト)
ヘッドライトのハイビームを自動で調節し、対向車や先行車の眩惑を防ぎます。
●パーク・アシスト・パイロット(縦列・並列駐車支援機能)
駐車時のハンドル操作を自動で行います。
さらなる安全のための自動運転技術
続々と追加されるインテリセーフの安全テクノロジーが、最終的に行きつく先は自動運転です。
ボルボは自動運転のソフトウェアを開発するため、自動車用安全部品を製造する英Autoliv(オートリブ社)と共同で、自動車ソフトウェア開発会社Zenuity(ゼヌイティ)を設立しました。
さらに世界屈指の半導体メーカーである米NVIDIA(エヌビディア社)とも協力して2021年までにAI(人工知能)を搭載した自動運転車を販売する予定です。
ボルボは2020年の先の2021年以降のビジョンも見据えているのです。
ボルボの安全な車造りとは
「車は人によって運転され、使用される。
したがって、ボルボの設計の基本は、常に安全でなければならない」
とは、ボルボの創業者アッサール・ガブリエルソンとグスタフ・ラーソンが遺したボルボの企業理念です。
自ら設立した会社が「人が運転しない自動運転」を実現化すると知ったらどんな顔をするでしょうか。
2人が遺した言葉の真意は「人間は完璧ではないため、システムが安全の手助けしなければならない」ということです。
自動運転技術は、ガブリエルソンとラーソンが夢にも見なかった、自らの思想の究極の形かもしれません。
その意思を受け継ぎ、ボルボはいつまでも安全な車を造り続けます。
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